「高配当ETFのどれを選べばいいの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国高配当ETFの2021年6月分配金実績についてご案内します。
・高配当ETF3銘柄の実績を比較します
・各回の分配金と年間のパフォーマンスを比較しています。
・長期投資における高配当ETFの魅力を解説しています。
2021年6月 米国高配当ETF 分配金実績比較
米国ETFは年4回、3月・6月・9月・12月に分配金を出す銘柄が多く、高配当ETFとして人気のVYM、HDV、SPYDについても同様です。
2021年6月の分配金が確定し、VYM、HDV、SPYDそれぞれの分配金実績は次の通りです。
2021年6月の分配金実績は
VYM :0.752ドル(前年同期比▲0.085ドル)
HDV :0.81ドル (前年同期比▲0.069ドル)
SPYD:0.399ドル(前年同期比+0.033ドル)
VYMとHDVは前年同期比で「減配」、SPYDは「増配」という結果となりました。
各ETFの概要

まずは、各ETFの基本情報について確認してみましょう。
VYMは銘柄数400以上あり分散が効いています。時価総額加重平均を採用しているため大型株が中心となっていることもあり、3銘柄の中で最も株価が安定しています。
HDVは財務内容の健全性に注目し銘柄を厳選していること、エネルギーやヘルスケアセクターの比率が高いことが特徴です。ここ数年間はエネルギーセクターのパフォーマンスが厳しく、VYMに比べHDVのパフォーマンスが低い要因となってしまいました。
SPYDはS&P500指数の対象銘柄の中で配当利回りの高い約80銘柄に均等投資するETFです。配当利回りを重視するため、株価が大幅に上昇している優良銘柄が対象外となる可能性があります。そのため、3銘柄の中では配当利回りとリスクが最も高くなっています。


6月分配金の実績

過去5年間の6月分配実績を比較してみましょう。
2021年6月、前年同期比でSPYDが大幅増配となっていますね。その要因について確認するために、株価チャートを見てみましょう。
(TradingView HP引用 VYM:青色、HDV:オレンジ色、SPYD:緑色)
各ETFの設定来の株価チャートを見てみると、昨年3~4月のコロナショックからVYMとHDVはいち早く回復しており、SPYDの回復が遅れていたことが分かります。
その結果、2020年6月はVYM、HDVが「増配」、SPYDが大幅「減配」となっていました。
2021年6月はSPYDがその反動で大幅プラスとなった一方、VYMとHDVは昨年に増配を実現済みであったため、今回は増減幅が小さくなりました。
次に2021年6月の分配金実績を5年前の2016年6月と比較してみると、
VYM :+30%
HDV :+19%
SPYD:+22%
長期でみると3銘柄ともに成長していることが分かります。
年間分配金の比較
過去1年間の分配金実績を時系列に並べてみると、
VYMはわずかながら「減配」。HDVはわずかながら「増配」、SPYDが大幅「増配」という結果となりました。
要因は同じく、SPYDが昨年、コロナショックからの回復が遅かったことによるものです。
VYMとHDVが昨年はそれぞれ10%以上の増配であったことからも、今回の結果はやむを得ないでしょう。
配当利回り推移・比較

3銘柄の配当利回り推移を比較してみましょう。上記の利回りは、6月分配日の前営業日における株価をベースに年間配当額から算出したものです。
配当利回りはSPYD>HDV>VYMの順序となっています。
2021年6月に配当利回りが低下していますが、分配金の増加よりも株価上昇の割合が大きかったためです。
VYMだけ年間分配金がわずかに減少していますが、前年6月の実績が高すぎたためといえます。
配当利回りは低いより高い方が良いですが、他のETFとは単純に比較することはできません。つまり、SPYDがVYMより良いとは言えないというわけです。
株価チャート比較

(Bloomberg HPより引用。VYM:オレンジ色、HDV:青色、SPYD:ピンク色)
配当利回りだけで比較することができないため、次に株価チャートを見てみましょう。上記は、5年間の株価増減率を比較したものです。
過去5年間の増減率は
VYM :48.54%
HDV :19.37%
SPYD:20.87%
過去5年間のほぼ全ての期間において、VYMのパフォーマンスが最も優れていることが分かります。
暴落局面で最も厳しかったSPYDは2021年に入り、HDVを上回る水準まで上昇しています。
ただし直近1カ月(2021年6月18日時点)で区切るとHDVのマイナス幅が最も小さくなっています。足元ではインフレ懸念が強まっており、エネルギーセクターのパフォーマンスが改善していることが考えられます。
これらのことから、過去のチャート比較だけを見ていても、単純に優劣をつけることは難しそうです。
長期保有の配当利回り比較

最後に長期保有をしていた場合、配当利回りはどのように推移していくか確認してみましょう。上記は2017年6月時点の株価で、毎年の配当利回りを算出したものです。
2021年6月の配当利回りは下記の通り。
VYM :3.70%
HDV :4.07%
SPYD:5.33%
直近株価で計算するよりも、それぞれ0.5~0.9%程度高くなっています。
SPYDの配当利回りは5%を超える水準となっており魅力的ですね。
どのETFを選べば良いか

人気の米国高配当ETFであるVYM、HDV、SPYDについて、分配金実績や配当利回り、株価推移を比較してきました。
これまでの結論をまとめると
・2021年6月の分配金実績ではSPYDが大幅増配
・長期では3銘柄ともに分配金は増加傾向
・配当利回りではSPYDが高いが、暴落に弱い
・株価推移ではVYMのパフォーマンスが圧倒
長期的には3銘柄ともに、株価・分配金両面での成長が期待できます。
私個人の見解としては、その中でも安定性やキャピタルゲインの期待が最もできるVYMのシェアを高めていきたいと考えています。
一方、配当利回り5%以上が狙えるSPYDも魅力です。SPYDは暴落局面に弱い面はありますが、長期的には他の銘柄と同じようなチャートの動きを示しています。そのため、株価下落局面でSPYDを段階的に買い増していく戦略がおすすめです。
目安として、足元の株価で計算して利回り5%以上のタイミングを狙いたいです。
計算の方法は、
直近の年間分配金1.906ドル ÷ 5% = 38.12ドル
2021年6月21日時点でSPYDの前日終値は39.32ドル(利回り4.85%)と株価下落により、利回りは段階的に高くなってきています。利回り5%以上が狙える局面が近いうちにくるかもしれませんね。
また、インフレ懸念から、今後もエネルギーセクターのパフォーマンスが改善すると予想するのであれば、HDVに投資しても良いでしょう。
3銘柄のどれが正解ということはなく、好みの問題となります。長期的には米国経済の成長が期待できると考えられます。その理由については下の別記事をご参照下さい。
投資は自己責任となりますので、無理なく自分のペースで続けていきましょう。

