「VTVとSPYVはどちらを選べばいいの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国バリュー株ETFについてご案内します。
・VTV、SPYVの概要について説明します
・S&P500指数とパフォーマンスを比較しています。
・バリュー株ETFへの個人的な意見をまとめています。
バリュー株とは

バリュー株とは割安株のことです。企業の財務状況(利益水準、自己資本、売上)や業種、ビジネスモデルなどから適正とされる株価に対して、割安に放置されている株を指します。
中長期的には適正株価に近づいていくと考えられるため、長期投資においては株価上昇が期待できること、下値抵抗も強いことから、一つの投資手法として注目されています。
株価が割安なため配当利回りが高くなりやすく、高配当ETFとバリュー株ETFでは多くの銘柄が共通しています。
一方、バリュー株のデメリットとしてはグロース株(成長株)に比べ、短期的な成長や高成長を期待しにくいことです。
VTV、SPYVとは

VTVの正式名称は、バンガード・バリューETF
CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックスに連動する投資成果を目指す
SPYVの正式名称は、SPDRポートフォリオS&P500指数バリュー株式ETF
S&P500指数を構成する銘柄の中で、市場全体と比較し割安と判断された銘柄へ分散投資を行うETFです。割安の判断は、株価純資産倍率、株価収益率および株価売上高倍率に基づいて行われています。
VTV、SPYVの概要

信託設定日など
(TradingView HPより VTV:オレンジ色、SPYV:青色)
VTVは2004年、SPYVは2000年の設定です。ステートストリートが運用するSPYVの方が古い設定ですが、純資産総額はVTVがSPYVの約7倍と圧倒しています。
経費率はどちらも0.04%とかなり低くなっています。
構成銘柄数
構成銘柄数はVTVが351に対し、SPYVが433と上回っています。
SPYVはS&P500指数の中で割安銘柄に投資しているということですが、8割以上が投資対象となっているのは意外でした。
どちらも十分に分散が効いているETFといえます。
上位銘柄

1位と2位はどちらも同じ銘柄で、金融セクターとなっています。1位のバークシャー・ハサウェイは著名な投資家であるウォーレンバフェットが率いる投資会社ですね。
上位10銘柄のうち7銘柄が共通しています。やはり割安銘柄だけあって、金融やエネルギーなど高配当銘柄が目立ちます。ちなみにVTVの上位10銘柄のうち8銘柄は、高配当ETFであるVYMの上位10銘柄に含まれています。

セクター別

上位3セクターは共通しており、どちらも金融セクターが2割を超えています。上位6セクターと下位5セクターで分けると、順序は異なるものの共通していることが分かります。
SPYVは情報技術、VTVはヘルスケアの割合が比較的高いことが特徴的です。
バリュー株ETFの特徴

パフォーマンス比較
(TradingView HPより VTV:青色、SPYV:オレンジ色、VOO:緑色、VYM:黄色)
上記チャートは過去5年間の増減率を示しています。S&P500指数に連動するVOOと米国高配当ETFのVYMと比較してみました。
コロナショックまではVOOがやや高いものの大差ないパフォーマンスでした。コロナショック以降は異次元の金融緩和により、GAFAMを中心としたIT企業が高騰したため、バリュー株ETFはVOOに大きく劣後しています。
一方、高配当ETFのVYMよりは少し高いパフォーマンスでした。

(TradingView HPより VTV:青色、SPYV:オレンジ色、VOO:緑色、VYM:黄色)
次に短期(直近1年)のチャートで比較してみましょう。あまり差がなくなりました。構成銘柄が近く、お互いに相関関係が高いETFであるといえそうです。
短期・長期のいずれもVTVがSPYVより高いパフォーマンスであることにも注目です。


分配金実績・配当利回り

最後に分配金と配当利回りの推移を比較してみましょう。SPYVの年間分配金がここ数年間ほぼ横ばいで推移しているのに対し、VTVの年間分配金は右肩上がりで成長していることが分かります。
配当利回りはVTVとSPYVともに概ね2.5~3.0%のレンジで推移しています。VYMが概ね3.0~3.5%、VOOが2%前後で推移していることから、ほぼ中間の利回りと覚えておけばよいでしょう。
まとめ

これまでハイテク株を中心としたグロース株が強い環境が続いてきました。これからインフレに伴うセクターローテーションが起きることが予想されており、既に一部でその兆候も見えてきました。
そのような中、バリュー株が見直されるようになってきており、バリュー株ETFへの投資も選択肢としては有効といえそうです。
ただし、VOOやVYMとの相関も高いことから、これらの銘柄に既に投資しているのであれば、あえてVTVに追加投資する意義は高いとはいえません。
VTVとSPYVのどちらを選ぶかといえば、これまでの実績からVTVがおすすめです。長期金利が上昇すると金融セクターが強くなるので、相対的にVTVのパフォーマンスも良くなりそうですね。
