「VOXとXLCはどちらを選べばいいの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国通信サービスセクターETFについてご案内します。
・VOX、XLCの概要について説明します
・S&P500指数とパフォーマンスを比較しています。
・通信サービスセクターへの個人的な意見をまとめています。
通信サービスセクターとは
通信サービスセクターとは、ネット回線、電話、テレビ、映画、広告などを取り扱うセクターです。
以前は映画、ネットサービスは含まれておらず「電気通信セクター」でしたが、2018年9月に大規模なセクターの見直しが行われました。
その見直しにより、「電気通信セクター」から「通信サービス(コミュニティサービス)セクター」となりました。
その結果、アルファベットやフェイスブックが情報技術セクターから通信サービスセクターに移動となりました。ネットフリックスやディズニーも一般消費財から通信サービスセクターに移動しています。
VOX、XLCとは
VOXの正式名称はバンガード通信サービスETF
MSCIインベスタブル・マーケット電気通信サービス・インデックスに連動する投資成果を目指します。
XLCの正式名称はコミュニケーション・サービス・セレクト・セクターSPDRファンド
コミュニケーション・サービス・セレクト・セクター指数に連動する投資成果を目指すETFです。S&P500指数における通信セクターのパフォーマンスを計測する指標となっています。
いずれも通信サービスセクターに特化したETFであり、上位銘柄のアルファベット(グーグル)、フェイスブックを見るとイメージできそうですね。
VOX、XLCの概要

信託設定日など
(TradingView HPより VOX:青色、XLC:オレンジ色)
VOXは2004年、XLCは2018年の設定です。これまで紹介してきた他のセクターETFではステートストリート社(XL●)の方が歴史があったのですが、通信サービスセクターのXLCは比較的新しいETFです。
上記の通り、2018年のセクター見直しの影響によるものです。
純資産総額ではXLCがVOXの約3倍と圧倒しています。経費率では他のセクター
ETFと同様、バンガード社がやや有利となっています。
構成銘柄数
構成銘柄数も他のセクターETFと同じく、VOXがXLCより多くなっています。
VOXは生活必需品セクターのVDC(93銘柄)よりやや多い116銘柄となっていますが、一般消費財やヘルスケアセクターに比べると少ないです。
XLCの銘柄数は26とこれまで紹介してきたセクターETFの中で最も少なくなっています。S&P500指数に採用される大型株が通信セクターには少ないことが分かります。
上位銘柄
VOX、XLCともにアルファベット(グーグル)とフェイスブックが上位を占めています。2社合計でVOXが約4割、XLCは約5割と圧倒的なシェアとなっていますね。
ディズニーやネットフリックスなど日本でも馴染みのある銘柄が並んでいます。上位10銘柄はVOX、XLCで共通していますが、順位に違いはあります。XLCは上位2社を除くと、ほとんど差がありません。
サブセクター
バンガードとステートストリートではサブセクターの分類表示に多少違いがあります。グーグルとフェイスブックが上位を占めるため、「メディア・サービス」がトップとなっています。
次に「映画・娯楽」となっていますが、ディズニーやネットフリックスを見ると納得できます。純粋な通信関連のサブセクターがそれ以降、続いています。
通信セクターETFの特徴
パフォーマンス比較
(TradingView HPより VOX:オレンジ色、XLC:青色、VOO:緑色)
通信サービスセクターは、2018年9月に見直しがされているので、XLCが設定されてからのチャートで比較してみます。
S&P500指数に連動するVOOと比べてみると、ほとんど同じように推移していることが分かります。
2020年10月頃まではVOOを下回っていましたが、2021年1月以降は通信サービスセクターがやや上回っています。
2018年9月以前の値動きは参考にならないので、注意しましょう。
分配金について
VOXの2020年分配金は年0.884ドルで、配当利回り0.94%でした。S&P500指数に連動するVOOの2020年分配金が5.3ドルで配当利回り2%弱であったことと比べても、高配当セクターではないことが分かります。
これは上位を占めるアルファベット(グーグル)とフェイスブックが配当を出さない無配銘柄であることによるものです。通信サービスセクターは分配金があまり出ないため、分配金を受け取るよりも株価成長を期待したい投資家に向いているといえそうです。
まとめ

通信サービスセクターは、大規模なセクター見直し後はS&P500指数に負けないパフォーマンスを発揮しています。上位銘柄にはグーグル、フェイスブック、ネットフリックスなどがあり、今後も高成長が期待できそうです。
ただし、個人的には通信サービスセクターにあえて投資する必要性があるか疑問です。その理由として、
・過去3年間のパフォーマンスがS&P500指数とほぼ同水準であったこと
・高配当を期待する投資家には分配金が物足りないこと
・銘柄分散が十分といえないこと
セクター特化型ETFはS&P500指数よりも、リスクが高いはずですが、リスクに見合ったリターンが過去の実績では見受けられません。個人的に高配当投資を好むことからも当面はこのセクターへの投資は予定していません。
セクター見直しからまだ3年程度しか経過しておらず、今後の推移をみていきたいと考えています。