「XLVとどちらを選べばいいの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国ヘルスケアセクターETFについてご案内します。
・VHTの概要について説明します
・XLVとパフォーマンスを比較しています。
・ヘルスケアセクターの魅力を解説しています。
ヘルスケアセクターとは
ヘルスケアセクターは、医薬品、医療機器など生命に関わる製品やサービスを提供する業種です。新型コロナ感染拡大を受け、検査機器や治療薬、ワクチンが相次いで開発されており、改めてその技術力にも注目が集まっているセクターです。
コロナ以外の疾患に対しても新薬、治療法の開発が行われています。2020年の米国における新薬承認件数は53件と過去2番目の水準でした。今後もM&Aなどにより市場拡大が続く成長分野であると考えられています。
国民にとってなくてはならないものなので、景気に影響されにくいディフェンシブなセクターとして人気です。
VHT、XLVとは
VHTの正式名称はバンカード・ヘルスケアETF
MSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア・インデックスに連動する投資成果を目指す米国ETFです。
XLVの正式名称はヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド
ヘルスケア・セレクト指数に連動する投資成果を目指す米国ETFです。この指数は、S&P500指数におけるヘルスケアセクターのパフォーマンスを計測する指標となっています。
いずれもヘルスケアセクターに特化したETFであり、ディフェンシブな特徴があるといわれています。2021年7月現在、テーパリングの議論が本格化してきており、これからますます注目が集まってきそうです。

VHT、XLV概要

信託設定日等

(TradingView HPより引用 VHT:オレンジ色、XLV:青色)
VHTは2004年、XLVは1998年の設定です。(前回の金融セクターETFもVFH2004年、XLF1998年の設定でした。)金融セクターと同様、ヘルスケアセクターETFについても、ステートストリートが運用するXLVの方が歴史があり、純資産総額もVHTの2倍以上となっています。
経費率やトータルリターンも金融セクターETFと同じく、低コストで有名なバンガード社が一歩リードしています。

構成銘柄数
構成銘柄数はVHTが500以上と圧倒的に多く、中小型株も含まれていることが分かります。XLVはS&P500指数採用銘柄に限定しているため、大型株で構成されており、銘柄数が少なくなっています。
上位銘柄

上位銘柄を比較してみると、1~5位まではそれぞれ同一銘柄となっています。6~10位は順序が異なりますが、銘柄は共通していました。ジョンソン・エンド・ジョンソンやファイザーなどは日本でも知名度が高い企業ですね。
XLVは銘柄数が少なく、上位10銘柄で50%を占めており、各銘柄のシェアもVHTより高くなっています。
サブセクター

VHTとXLVのセクター構成は上記の通り。上位の構成銘柄がほとんど同じなので、大きな差はなさそうです。いずれも医薬品がトップで、ヘルスケア機器が続いています。
バンガード社の方が細かく分類表示しています。単純比較は難しいですが、バイオテクノロジーはVHTのシェアがやや大きくなっていることが分かります。
ヘルスケアセクターETFの特徴
パフォーマンス比較
(TradingView HPより引用 VHT:青色、XLV:オレンジ色、SPY:緑色)
上記のチャートはVHTが設定された2004年から増減率を比較したものです。SPYはS&P500指数に連動するETFであり、大型株に限定されるものの米国株式市場全体のパフォーマンスを表しています。
長期で比較すると、ヘルスケアセクターはS&P500指数より優れたパフォーマンスを示していることが分かります。
また、リーマンショックやコロナショックの株価暴落局面においても、ヘルスケアセクターの下落率はS&P500よりも低く、下落前水準までの回復に要する期間も短かったことから、ディフェンシブな特徴があることは間違いなさそうです。

(TradingView HPより引用 VHT:青色、XLV:オレンジ色、SPY:緑色)
次に短期チャートでも比較してみましょう。2021年7月時点で直近1年間の増減率を比較すると、ヘルスケアセクターのパフォーマンスがS&P500指数を下回っています。
ヘルスケアセクターに属する各企業の業績が悪かったためではなく、主に次の2つの要因によるものと言われています。
①医療分野は政策や法律の影響を受けやすく、米大統領選挙の動向を見極める動きが前半にあったため。
②ワクチン普及による経済回復の期待から、より景気の影響を受けやすいセクターが選好されたため。
今後については、インフレや金利上昇に伴う株価下落リスクが懸念され始めており、短期的には予測が難しい状況です。
ただし暴落が起こった場合、回復スピードが速いセクターであり、長期的には高い成長が見込まれることから、これからも人気が集まるセクターになりそうです。
分配金実績

2016年以降の年間分配金実績と前年末終値に対する配当利回りを比較してみました。2019年が大幅増配となっており、利回り2%を超えています。
2019年を除くと、ヘルスケアセクターは1.5%前後の利回りで推移しており、VHTが少し上回っています。
2020年はコロナショックの影響により、2018年に近い水準まで減配してしまいました。2021年3月と6月の分配金合計は前年同期比で、VHT・XLVともに増配となっています。
まとめ
ヘルスケアセクターは医薬品や医療機器分野などで、ワクチンや新薬、新製品の開発に多額の先行投資を行っています。また法制度の変更や訴訟リスクなどもあることから、個別企業単位では難易度の高い投資対象といえます。
しかし、ヘルスケアセクターの市場全体では、今後も高い成長が期待できる有望な投資対象であることは間違いないでしょう。そのため一般の個人投資家には、個別銘柄ではなくETFでの投資をおすすめしたいです。
私個人としてはVHTをおすすめします。その理由は以下の3点
①経費率がXLVよりも低いこと
②中小型株も含まれていること
③配当利回りも優れていること
長期的には株価のパフォーマンス、配当利回りともにVHTの方が優れています。また、中小型株も含まれているため、新薬開発などで将来大きく成長する銘柄も含まれている可能性があると考えられるからです。
今後短期的には株価下落も考えられます。これから投資を検討するのであれば、利回り2%を超えるタイミングでの購入や、定期的に少額ずつ購入する方法がおすすめです。
