「XLYとどちらを選べばいいの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国一般消費財セクターETFについてご案内します。
・VCRの概要について説明します
・XLYとパフォーマンスを比較しています。
・一般消費財セクターの魅力を解説しています。
一般消費財セクターとは
一般消費財セクターとは生活必需品には含まれないもので、消費者向けの小売や製造、サービス業全般を指します。例えば、インターネット通販や自動車、アパレル、ホテル、レストランなどです。個人の生活に身近なものが多いのでイメージしやすいですね。
一般消費財セクターは、個人消費の動向に直接影響を受けるため、景気に敏感な銘柄が多いといわれています。一方の生活必需品は、個人の生活になくてはならないものであるため、景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄であり対照的です。
VCR、XLYとは
VCRの正式名称は、バンガード・コンシューマー・ディスクレショナリーETF
MSCI USインベスタブル・マーケット・コンシューマー・ディスクレショナリー・インデックスに連動する投資成果を目指します。
HLYの正式名称は、一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド
一般消費財セレクト・セクター指数の値動きに連動する投資成果を目指すETFです。この指数はS&P500指数における一般消費財セクターのパフォーマンスを計測する指標となっています。
いずれも一般消費財セクターに特化したETFであり、景気敏感な特徴があります。自動車やホテルなどの贅沢品が含まれており、景気悪化時に真っ先にコストカットの対象となる反面、好景気には高い成長が期待できます。
VCR、XLYの概要

信託設定日など
(TradingView HPより引用 VCR:オレンジ色、XLY:青色)
VCRは2004年、XLYは1998年の設定です。金融セクターやヘルスケアセクターと同じく、ステートストリートが運用するXLYの方が歴史があり、純資産総額ではVCRの3倍以上となっています。
経費率やトータルリターンも、金融セクターやヘルスケアセクターと同様、低コストで有名なバンガード社のVCRが一歩リードしています。


構成銘柄数
構成銘柄数はVCRが約300と多く、中小型株も含まれていることが分かります。一方のXLYはS&P500指数採用銘柄に限定されているため、大型株のみで構成されています。
上位銘柄

VCR、XLYともに、アマゾンがトップで全体の20%以上のシェアを占めています。以前は2位がホーム・デポでしたが、テスラが逆転しています。ホーム・デポは住宅リフォーム、建設資材等の小売業者です。
ナイキ、マクドナルド、スターバックスなど、日本でも知名度が高いグローバル企業が並んでいます。
時価総額加重平均のため、VCRも上位10銘柄で55%以上のシェアとなっています。

サブセクター

VCRとXLYのセクター構成は上記の通り。やはりアマゾンだけで20%以上のシェアを占めているため、トップは「インターネット販売・通信販売」となっています。
上位に「自動車」「ホテル・レストラン」が並んでいることからも、景気の影響を受けやすいことが分かります。XLYの方がそれぞれの割合が高くなっていますね。
一般消費財セクターETFの特徴
パフォーマンス比較
(TradingView HPより引用 VCR:青色、XLY:オレンジ色、SPY:緑色)
上記のチャートは過去5年間の増減率を比較したチャートです。SPYはS&P500指数に連動するETFであり、大型株限定ですが米国株式市場全体を表しています。
この5年間で比較すると、一般消費財セクターはS&P500指数より優れたパフォーマンスを示していることが分かります。特にコロナショック以降の成長率が高いですね。
(TradingView HPより引用 VCR:青色、XLY:オレンジ色、SPY:緑色)
次に過去1年間の増減率を比較した短期チャートを確認してみましょう。この1年間ではVCRのパフォーマンスが、XLYやSPYに比べ上回っています。XLYはS&P500指数とほぼ同水準のパフォーマンスでした。
2021年に入ってからVCRとXLYに差が開いた原因は、ゲームストップを中心とした小型株の急成長によるものです。小型株なのでVCRには入っており、XLYには入っていないためです。
ゲームストップは、大規模ファンドが行った空売りに個人投資家が反発してSNSで購入を呼びかけ合った結果、株価が急騰したことで有名になりました。空売りを仕掛けていたファンドは大損害を被りました。
それまではVCRとXLYはほとんど同じような値動きであったため、スポット的な要因と考えてよいでしょう。
分配金実績、利回り比較

2016年以降の年間分配金実績と前年末終値に対する配当利回りを比較してみました。2019年までの配当利回りはほとんど同水準でしたが、2020年は大きく差が開きました。
VCRの分配金が前年比2倍以上と急増し一方、XLYはわずかながら減配となっています。2020年を除けば、配当利回りは1%前後で推移しており、高配当銘柄とはいえなさそうです。
まとめ
一般消費財セクターはアマゾンやテスラなど時価総額の大きな高成長企業が全体を牽引しており、S&P500指数を上回るパフォーマンスを示しています。
一般消費財セクターETFは個人投資家にとってイメージしやすく、投資初心者にもおすすめのETFです。過去のパフォーマンスや経費率の低さ、中小型株を含めた分散の観点から、私のおすすめはVCRとなります。
ただし、景気の影響を受けやすい特徴があるので、投資タイミングが重要です。2021年7月時点では、高値警戒感も出てきており株価下落の可能性もあることから、少し様子見をした方がよさそうです。もしこれから始めるのであれば、時間分散を意識した少額での定期購入がおすすめです。

