「代表的な株価指数について知りたい」
この記事では、こんな疑問にお答えします。
この記事を書いているのは、
・株価指数やベンチマークの概要を説明しています
・株価指数の代表的な統計方法を解説しています。
・時価加重型のメリット・デメリットについて説明しています。
ETFは色々な株価指数に連動する投資成果を目指す運用商品です。それではETFが連動を目指す「株価指数」とはどのようなものでしょうか?
何となく理解しているといった人の方が多いかもしれません。
本記事ではETF投資をする上で、最低限知っておきたい「株価指数」の基礎知識についてまとめてみました。
株価指数とは
株価指数とは、株式市場全体、米国大型株・情報通信セクターなどのようにある銘柄群(カテゴリー)の株価の動きを示す指標のことです。
ある時点を基準として数値の増減で表されます。通常、市場平均やあるセクターの株価水準の動向を確認するのに利用され、株価指数そのものが取引対象とされたり、ベンチマークとしての役割もあります。
そもそも指数とは
「変動する数値の大小関係を分かりやすく示すため比率の形にして表したもの」
これだけだと分かりにくいと思いますので、簡単な具体例を使って見てみましょう
【単純化するため2つの銘柄(A社、B社)で構成された指数を仮定】
A社とB社の単純平均した2000年(〇月△日)の株価を「100」とした場合、
年 | A社 | B社 | 単純平均 | 指数 |
2000年 | 5,000円 | 10,000円 | 7,500円 | 100 |
2010年 | 3,000円 | 9,000円 | 6,000円 | 80 |
2020年 | 6,500円 | 13,500円 | 10,000円 | 133.3 |
指数を使うことで、「2010年は2000年に比べ20%下落」「2020年は2000年に比べ約33%上昇」ということが分かりやすくなります。
指数を用いることで、大小の比較がしやすくなりましたね
投資におけるベンチマークとは
ベンチマークとは、投資信託などが運用する際に比較するために用いる「基準」のことです。例えば、日本株式に投資する投資信託であれば、TOPIXや日経平均株価などの指数がベンチマークとして用いられます。
これらの指数は市場全体の平均を表すことが多いため、ベンチマーク(基準)とすることで、投資信託のパフォーマンスが市場平均と比べ、どれぐらい良いのか、それとも悪いのかを把握しやすくなります。
ちなみに、
ベンチマークである指数との連動を目指す運用方法を「パッシブ運用」
ベンチマークを上回る投資成果を目指す運用方法を「アクティブ運用」
と言います。
株価指数の統計方法について

次に株価指数の統計方法について見ていきましょう。
主な統計方法として、下記3つの種類に分けられます。
・単純平均株価
・ダウ式平均株価
・時価総額加重平均株価
単純平均株価
各構成銘柄の株価合計を銘柄数で割って求めた平均株価のことです。
メリットは計算方法が簡単であること、株式市場全体の平均的な水準がどのくらいであるかを示しているため、非常に分かりやすい指標であることです。
デメリットとして、「1株を3株に分割」といった株式分割や配当落ちなどで株価が安くなると、過去の統計との連続性が途絶え指標としては不完全なものとなることです。
ダウ式平均株価
ダウ式平均株価は、単純平均株価のもつ上記デメリットを解決する手段として用いられるようになりました。詳細は難しいので省略しますが、権利落ちなどの影響を調整するための計算が都度行われています。
この方法にもデメリットがあり、ダウ平均が30銘柄に限定されているように、採用銘柄数が少なくなることです。また、時価総額の大小を考慮しないため、品薄株などによる価格変動の影響がでやすいなど、市場全体の動きをとらえにくいことがあげられます。
時価総額加重平均株価
現在、株価指数として最も用いられているタイプが「時価総額加重平均型」となります。
これは構成銘柄の時価総額(株価×上場株式数)の合計額を、ある一定時点の時価総額合計額で割って算出したものです。
そのため、中小型株よりも大型株の方が、株価変動による株価指数に大きく影響します。
メリットとしては、値がさ株(株価が高い会社の株価)の影響を受けにくいことが挙げられます。一方、時価総額の大きい大型株の中で、固定株(持ち合い株式、役員保有など)比率の高い会社の影響を受けやすくなるという性質があります。
この問題を解決するため「浮動株基準」を用いる時価加重型指数が増えています。浮動株とは株式市場に流通していて売買することができる株のことです。
代表的な株価指数について
日米で代表的な株価指数が、それぞれどの統計方法に分類されるか見てみましょう。
【平均株価】
日経平均株価:東証一部上場の中で流動性の高い225銘柄
NYダウ:マクドナルド、インテル、IBMなど30銘柄
いずれも単純平均ではなく、指数の連続性が保たれるよう特殊な計算が行われています。
【時価総額加重平均】
TOPIX:東証一部上場の全銘柄(約2,000社)が対象。1968年の時価総額を100ポイントとしている。
S&P500:NY証券取引所やナスダックなどに上場している大型株約500銘柄が対象。
ナスダック総合指数:ナスダック市場の全ての銘柄が対象。アメリカのIT企業における市場動向が分かる。
ラッセル2000:米株式市場の時価総額が1001位から3000位までの銘柄を対象。アメリカの中小型株の景況感が分かる。
米国ETF投資における時価総額加重平均指数のメリット・デメリット

代表的なS&P500指数に連動するETF(VOO)に投資する場合で考えてみましょう。
株価指数の基礎的な知識を理解しておくことで、ETF投資をする上で、銘柄の特徴が
把握しやすくなります。
メリット
仕組みが理解しやすい
(TradingView HPより引用)
S&P500指数の場合、1941年から1943年の平均を10としています。2021年5月31日時点で約4,200であり、リーマンショックの2009年ボトム水準(約720)から5.8倍に成長していることが分かります。
自動的に銘柄調整が行われる
S&P500指数は構成銘柄の条件がいくつかあり、時価総額が一定水準以上あることや、直近1年(4四半期)で黒字経営をしている、流動性が高く浮動株が50%以上あることなどが必要です。
そのため、業績が低調な銘柄が除外され、業績好調で株価が上昇している銘柄が採用されるといった入れ替えが行われます。
投資家はS&P500指数に連動するETFに投資するだけで上記の調整を自動的に行うことができるメリットがあります。
デメリット
株価平均型の指数に比べ、時価総額上位銘柄の株価変動による影響を大きく受けることになります。
S&P500指数の場合、上位銘柄はGAFAMなどのIT企業が多く、株価も同じように変動する傾向があることは理解しておきましょう。
このような高成長株は、長期金利の影響を受けやすく、長期金利上昇局面では大きく株価が下がる場面がよく見られています。
今回の記事をまとめると、
・株価指数は市場平均やある時点との比較に便利。
・時価総額加重平均型の株価指数が主流。
・株価指数の知識があればETFの銘柄について理解しやすい。
米国ETFの銘柄を選ぶ際には、対象となる株価指数の特徴についても理解するようにしましょう。
