「各セクターの特徴について知りたい」
この記事では、こんな疑問にお答えします。
この記事を書いているのは、
・11セクターの中で下位5セクターについて解説しています。
・各セクターに投資するETFについて説明しています。
・セクターローションについて解説しています。
生活必需品

【英語表記】
・Consumer Staples
・Consumer Defensive
生活必需品セクターとは
生活必需品セクターとは、食料品や日用品、スーパーマーケットなど生きるためになくてはならないもの全般を扱う業種です。不景気でも必ず消費されるものなので、ディフェンシブなセクターといえます。
生活必需品セクターの特徴
・景気に左右されにくく、不況にも強い
・高配当、連続増配銘柄が多い
・ボラティリティが低く、安定している
主要銘柄:コカ・コーラ、ウォルマート、P&G、ペプシコ、コストコ、フィリップモリスなど
生活必需品セクターETF
バンガード :VDC
ブラックロック:KXI

米国100%のVDCの方が高いパフォーマンスとなっています。
S&P500指数に連動するVOOとの比較チャート(5年)を見てみましょう。

(TradingViewから引用 VOO:青色、KXI:緑色、VDC:オレンジ色)
VOOよりかなりパフォーマンスが低いことが分かります。
不動産

【英語表記】
・Real Estate
不動産セクターとは
不動産セクターとは、オフィスビルや商業施設、住宅など不動産を扱う業種です。不動産セクターのETFでは9割以上がリートを占めるため、実質リートのETFといえます。
不動産セクターの特徴
・直近のパフォーマンスはS&P500より劣る
・下落耐性もS&P500指数よりも悪い
・高配当銘柄が多い
・景気や金利、物価変動の影響を受けやすい
主要銘柄:バンガードリアルエステイト、アメリカン・タワー、プロロジス、クラウン・キャッスル・インターナショナルなど
上記の通り、米国リートが大半であり、馴染みのある銘柄は少ないようです。
不動産セクターETF
バンガード :VNQ
ブラックロック:IYR

米国100%のVNQの方が高いパフォーマンスとなっています。
S&P500指数に連動するVOOとの比較チャート(5年)を見てみましょう。

(TradingViewから引用 VOO:青色、IYR:緑色、VNQ:オレンジ色)
VOOよりかなりパフォーマンスが低いことが分かります。
素材

【英語表記】
・Materials
・Basic Materials
素材セクターとは
素材セクターは金属、化学品、紙、塗料などを取り扱う業種です。事業向けの原料や化学品などであり、消費者には馴染みがない銘柄が多くなります。
素材セクターの特徴
・景気の影響を受けやすい
・ボラティリティが高い
・配当はやや多め
・好況時に強い
主要銘柄:リンデ、エコラボ、ダウ、デュポン、シャーウィン・ウィリアムズ・カンパニーなど
上位でも日本の消費者にはあまり馴染みのない銘柄が多いです。
素材セクターETF
バンガード :VAW
ブラックロック:MXI

素材セクターは米国比率の影響はあまりなく、グローバルに投資するMXIの方が高いパフォーマンスとなっています。
S&P500指数に連動するVOOとの比較チャート(5年)を見てみましょう。

(TradingViewから引用 VOO:青色、MXI:緑色、VAW:オレンジ色)
VOOよりパフォーマンスが少し低いことが分かります。
エネルギー

【英語表記】
・Energy
エネルギーセクターとは
エネルギーセクターは石油・ガスの採掘や開発、石油・ガスの精製・販売、貯蔵・輸送などの業種です。ちなみに電力、水道などは公益事業セクターに分類されます。
エネルギーセクターの特徴
・不況に強いセクター
・他国、特に中東の影響を受けやすい
・ボラティリティが高い
・配当は多め
・パフォーマンスはS&P500を下回る
主要銘柄:エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス、キンダー・モルガンなど
エクソンモービルは日本でもガソリンで有名ですが、それ以外はあまり馴染みがない銘柄が多くなります。
エネルギーセクターETF
バンガード :VDE
ブラックロック:IXC

3年のトータルリターンがマイナスであり、コロナの暴落から回復しきれていません。
S&P500指数に連動するVOOとの比較チャート(5年)を見てみましょう。

(TradingViewから引用 VOO:青色、IXC:緑色、VDE:オレンジ色)
VOOよりパフォーマンスがかなり低いことが分かります。
公益事業

【英語表記】
・Utilities
公益事業セクターとは
公益事業セクターは電力、水道、ガスを提供している業種です。人々の生活になくてはならないサービスですので、不況に強いセクターです。
公益事業セクターの特徴
・景気に左右されにくい
・不況に強いディフェンシブ銘柄
・配当は多め
・ボラティリティが低い
主要銘柄:ネクステラ・エナジー、ドミニオン・エナジー、デューク・エナジー、サザン・カンパニーなど
米国を拠点とする電力やガス会社のため、日本人にはほとんど馴染みがない銘柄です
公益事業セクターETF
バンガード :VPU
ブラックロック:JXI

このセクターも米国比率の差はあまり関係なく、同じようなパフォーマンスとなっています。
S&P500指数に連動するVOOとの比較チャート(5年)を見てみましょう。

(TradingViewから引用 VOO:青色、JXI:緑色、VPU:オレンジ色)
VOOよりパフォーマンスがかなり低いことが分かります。
セクターローションとは

資本主義社会は拡張と収縮を繰り返しながら成長を続けており、通常「回復→好況→収縮→不況→回復・・・」と4つの局面を繰り返します。この景気サイクルにおいて、好調なセクターも入れ替わっていくため、これをセクターローションと呼んでいます。
景気回復局面に強いセクター
景気が上向きに向かうと、高い成長性が期待できる情報技術セクターがいち早く注目される傾向があります。設備投資が活発になったり、金利上昇による収益改善も意識されてくることから金融セクターも人気が高まってきます。
・情報技術セクター
・金融セクター
好況時に強いセクター
贅沢品を含めた消費が活発になるため一般消費財セクターが強くなります。また、インフレ圧力が強くなり、コモディティ価格上昇の恩恵を受けやすい素材セクター、資本財セクターにも人気が集まります。
・一般消費財セクター
・素材セクター
・資本財セクター
景気後退局面に強いセクター
景気が過熱しすぎると金利上昇により抑えようとします。その結果、インフレとなり景気後退局面に入るわけですが、インフレに強いと言われているのがエネルギーセクターです。
・エネルギーセクター
不況に強いセクター
不況時には景気の影響を受けずに消費されるディフェンシブ銘柄が人気となります。生活必需品や医療、電力・水道、電話など生きていくうえでなくてはならないサービスです。
・生活必需品セクター
・ヘルスケアセクター
・公益事業セクター
・通信セクター
不動産セクターは景気だけでなく物価動向や金利など色々な影響を受けるため、4つの局面のどこに入るかは一概に特定できず、上記分類には含まれていません。
今回の記事をまとめると、
・下位5セクターのパフォーマンスはS&P500指数より低い。
・過去5年ではエネルギーセクターが最も低いパフォーマンス。
・景気サイクルにより強いセクターが入れ替わっていく。
セクターローションは一般的な傾向であり、このように単純に動くわけではありません。あくまで参考として捉えるようにしておきましょう。

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