「なぜ重要指標として注目されているの?」
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国の主要経済指標であるISM製造業・非製造業景気指数についてご案内します。
・ISM景気指数の概要について説明します
・製造業・非製造業景気指数の特徴をまとめています。
・株価との相関について解説しています。
ISM景気指数とは
ISM景気指数とは全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が公表しているアメリカの製造業・非製造業の景況感を表す指数のことです。
ISMが全米300社以上の購買担当者を対象にアンケート調査を実施し、その調査結果を指数化したものになります。
製造業に対して実施するアンケート結果を示す「ISM製造業景気指数」と非製造業に対して実施するアンケート結果を示す「ISM非製造業景気指数」の2種類があります。
いずれも各質問に対して、1ヵ月前と比較して「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の三者択一で回答してもらったものになります。その結果を集計して数値化されます。数値は0から100までで表され、「良くなっている」と「悪くなっている」の比率が同じ場合「50」となります。
このため50を基準にして、50よりも上回ると「景気拡大」、50を下回ると「景気後退」を意味します。
製造業景気指数と非製造業景気指数の特徴

発表時期
・製造業 :毎月第1営業日、米国東部標準時間午前10時発表
(日本時間午後11時)
・非製造業:毎月第3営業日、米国東部標準時間午前10時発表
(日本時間午後11時)
結果は翌月に発表されます。2021年6月の速報値が、2021年7月の第1営業日に発表されるということです。特に「製造業景気指数」は毎月発表される米主要経済指標の中で最も早く発表されるという速報性が注目される要因となっています。
ちなみに冬時間は日本時間午前0時となります。
指数の算出方法
・製造業 :10項目のアンケートから、新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫の5項目を加重平均して算出
・非製造業:10項目のアンケートから、事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延の4項目を平均して算出
非製造業景気指数は1998年からの公表と製造業の1931年に比べ歴史は浅いものの、米国の名目GDPの9割が非製造業を占めることから、やはり注目度が高い指標です。

景況感指数と株価変動
ISM製造業・非製造業景気指数は、GDP成長率や株価との相関が比較的高いことからも、今後の景気動向をを探る上で注目されています。
実際にS&P500指数に連動する代表的なETFであるSPYの株価推移と比較してみましょう。
全期間をまとめて比較すると、S&P500指数が急成長のため分かりにくいので、3つの期間に分けてみました。
2008年~2011年はリーマンショックによる景気低迷とそこからの回復に向かうところでした。景気指数と株価が同じように動いていることが分かります。景気指数の方が株価に比べ、やや先行していたことにも注目です。
2012年以降は相関がやや弱まっているようにも見えます。景況感指数が安定的に50を上回っている時期が長く、その間S&P500指数が右肩上がりの成長を続けていたことが分かります。
コロナショック前後の推移を見ても、やはり相関が高いといえそうですね。
2021年7月公表結果
2021年7月に公表された製造業景気指数の2021年6月速報結果は、60.6と前月61.2からはやや低下しました。
市場予想が61.0であったことから、原材料と労働力の不足がマイナス要因と考えられます。しかし、景気拡大・後退の目安となる50より大きく上回っていることから、景気拡大傾向にあることは間違いなさそうです。
2021年6月の非製造業景気指数も市場予想63.5に対し60.1と下回り、2ヵ月振りに低下しました。雇用単独の指数が49.3(前月55.3)と50を下回っており、サービス業の労働力不足が心配な状況です。
まとめ

ISM景気指数は製造業・非製造業ともに速報性があり、重要な経済指標の一つです。企業の担当者へのアンケート調査に基づき、経済の実態を反映していることから、株価に与える影響も大きいです。
2021年7月時点ではコロナ感染再拡大の影響や、原材料供給不足が一時的なものとなるかについて関心が高まっています。
米国株や米国ETFへ投資する個人投資家であれば、是非知っておきたい経済指標なので、2021年8月上旬に公表される7月速報結果に注目してみてはいかがでしょうか。
