「株式市場への影響は?」
この記事では、こんな疑問にお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、2021年9月FOMC声明の結果について解説します。
・パウエルFRB議長の発言概要について説明します
・主なポイントをまとめています。
・会議後の株式市場の状況について解説しています。
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米国ETF投資で重要となる主要経済指標や政策決定会合についても、これまで何度かまとめています。
そこで今回は2021年9月に実施されたFOMC声明について解説しています。
FOMC声明や記事で触れているドットチャートについては、過去記事をご参考にして下さい。


2021年9月FOMC声明

FOMC声明概要
9月21日~22日の定例会合における決定事項や議論の結果発表された内容は次の通り。
①政策金利を0.00~0.25%に据え置くこと
②量的緩和政策を維持すること
③景気判断は回復ペースが落ちてきていると懸念を示す
④テーパリングは次回以降の会合で決定する可能性を示唆
①と②については従来と同じ内容であり、特段サプライズはありませんでした。
景気判断については、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大により、回復ペースが落ちてきていることに懸念を示しており、前回よりはややネガティブな判断となっています。
テーパリング(量的緩和の縮小)については、次回(11月)のFOMC声明で決定する可能性が強く示されました。
会合後の記者会見
市場関係者や投資家が最も注目していたパウエルFRB議長による会合後の記者会見でのコメントについて確認してみましょう。
テーパリングについて
「テーパリング(量的緩和策の縮小開始)を決定するのは、早ければ次の会合(11月)になるかもしれない」
そのペースについては、
「FOMCの参加者は、経済回復が軌道に乗っている限り、2022年半ば頃にテーパリングを終了する緩やかなペースが適当だろうとおおむね考えている」と述べました。
利上げについて
「利上げの判断は雇用状況次第だ。多くの面で労働市場が非常に逼迫しているという兆候がある一方で、ひずみもみられる」との見解を示しました。
「2022年を通してインフレ率が(2%よりも)高い状況が続けば、利上げの環境が整う」と述べました。
ドットチャート
出典:米連邦準備理事会(FRB)、ロイター
(投票権を持たないメンバーを含む)FOMC各メンバーが適切と考える政策金利水準の予想を、ひとつの点(ドット)として散布図で表したものをドットチャートといいます。
3月、6月、9月、12月にはFRBがドットチャートを公表します。2021年9月に公表されたFOMCメンバー(17人)の予想値は下記の通り。
・2021年末:全17人がFFレート0.125%の据え置き(前回6月と同じ)
・2022年末:9人が0.125%据え置き(前回11人)、6人が0.25%への利上げ(前回5人)、2人が0.5%への利上げ(前回2人)
・2023年末:1人が0.125%据え置き(前回5人)、4人が0.25%(前回2人)、3人が0.5%(前回3人)、1人が0.75%(前回3人)、6人が1.00%(前回3人)、2人が1.50%(前回2人)
想定以上に高止まりする物価の現状を踏まえ、前回(6月)よりも早期の金利引上げを求める意見が多くなっているようです。
株式市場への影響
(TradingView HPより NYダウ:青色、長期金利:オレンジ色、ナスダック:緑色、金:黄色)
今回、注目されたテーパリングについては11月に決定される可能性が示されたものの、市場では織り込み済みの内容であったため、発表直後に大きな影響はありませんでした。
6月のFOMC声明や8月のジャクソンホール会議など、市場への影響を強く意識して、時間をかけて丁寧に説明を続けてきた成果といえるでしょう。
一方、9月のFOMCと前後して中国不動産バブル崩壊の懸念が強まってきています。中国恒大集団の債務危機が発生していることから、長期金利が大幅上昇(債券相場は下落)しています。FOMCによる利上げ予想がやや前倒しになったことも影響しているようです。
NYダウやナスダックは9月27日時点ではそれほど大きな影響は受けていません。中国恒大集団の債務危機が短期的には落ち着いた(23日の利払いが実施された)ためですが、しばらくは不安定な状況が続きそうです。
金は長期金利上昇の影響を受け、低下傾向にあります。金は利息がつかない資産のため、市場金利が高くなると、売られやすい傾向があるためです。
まとめ

今回は2021年9月のFOMC声明の結果と、その後の株式市場の動向についてみてみました。
最後にポイントをまとめると
・新型コロナウイルスの感染再拡大により、景気判断はやや下方修正に
・早ければ11月の会合でテーパリングを決定する可能性があることを言及
・物価上昇の影響により、利上げ時期も前倒しとなる予想が多くなっている
例年9月の株式市場は低迷しやすいと言われていますが、2021年も例外ではなかったようです。中国恒大集団の問題は10月以降も続きそうですね。中国政府の方針次第で、大きく影響を受ける可能性があります。
個人的には引き続きキャッシュを厚めに確保しながら、ターゲット水準まで暴落する銘柄があれば、少しずつ買い入れしていきたいと考えています。