「ADDとLQDの特徴は?」
この記事では、こんな疑問にお答えします。
この記事を書いているのは、
この記事では、米国債券ETFについてご案内します。
・ADDの概要について説明します
・LQDとのパフォーマンスを比較しています。
・債券ETFの魅力を解説しています。
債券ETFとは

(岡三証券 HPより引用)
債券とは国や企業などの発行体が、投資家から資金を調達するために発行する有価証券のことです。
発行体は満期までの期間、決められた利子の支払いを行います。発行体が破綻しない限り、満期時に債券の額面金額が払い戻される仕組みとなっています。
そのため、一般的に株式と比べると値動きやリスクが小さい投資対象といえます。
債券ETFは、幅広い債券に分散投資をするETF(上場投資信託)です。債券ETFは、通常の債券と比べ、2つのメリットがあります。
1つ目は市場でいつでも売買することができる点です。2つ目は解約手数料がかからないことです。通常の債券は、原則は満期まで保有する必要があり、解約できる場合でも解約手数料がかかってしまう可能性があります。
一方、デメリットとしては投資信託であるため、保有コストが発生してしまうことが挙げられます。ただし、今回ご紹介するAGGの経費率は0.04%と低いため、問題にはならないかもしれません。
AGG、LQDとは

AGGの正式名称は、iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF
主に米国の国債、政府保証債など高格付の投資適格債券に分散投資するファンドです。
LQDの正式名称は、iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF
BBB以上の格付である米ドル建て投資適格社債に分散投資するファンドです。
どちらも世界最大手のファンド会社であるブラックロックの商品。AGGが主に国・政府保証債を対象とするのに対し、LQDは銀行や通信など企業の社債を対象としている点が大きく異なっています。
AGG、LQDの概要

信託設定日等

(Tradingview HPより 青色:AGG、オレンジ色:LQD)
信託設定日はAGGが2003年、LQDが2002年とどちらも約20年の実績があるファンドです。純資産総額はAGGが約10兆円と圧倒していますが、LQDも十分な規模ですね。
経費率はAGGが0.04%と驚異的な低さですが、LQDも0.14%と十分に低コストといえます。
資産構成など

AGGの保有銘柄数は1万以上もあり相当な分散が効いているファンドです。資産構成は米国債(財務省)、モーゲージ・パススルー証券で約3分の2を占めています。
モーゲージ・パススルー証券とは、金融機関が自ら貸し出した住宅ローンのうち、一定の条件を満たすものをひとまとめにしたものです。政府系金融機関等が保証しており高格付となっています。
LQDの保有銘柄数は約2,500あり、AGGほどではないものの十分に分散しています。資産構成は、銀行・非景気循環消費・通信セクターが上位を占めています。非景気循環消費とは日用品や食料品などの生活必需品関連です。不景気に強く、ディフェンシブなセクターが上位を占めています。
(BlackRock HPより引用:AGG 信用格付)

(BlackRock HPより引用:LQD 信用格付)
AGGはAAA(トリプルA)が70%以上、A(シングルA)以上で約85%となっており、信用リスクの面では全く心配がありません。一方、LQDは社債が中心であり、約50%がBBB(トリプルB)となっています。
ただし、どちらも米ドル建て債券ですので、為替リスクが存在します。円高に進むと為替差損が発生することになるので、注意しておきましょう。
パフォーマンス比較
(Tradingview HPより 青色:AGG、オレンジ色:LQD、緑色:VOO)
S&P500指数に連動するVOOを株式ETFの代表として、直近5年間のパフォーマンス比較をしてみました。
異次元の金融緩和により米国株式が高いパフォーマンスを継続してきた一方、債券ETFはほぼ横這いの推移となっていますね。
これだけ見ると魅力が乏しい投資対象に見えますが、毎月の利子(配当)を含めたAGGのパフォーマンスは以下の通り。

(BlackRock HPより引用:AGG 設定来のパフォーマンス)
AGGの設定来パフォーマンスは年3.9%であり、右肩上がりで着実に成長していることが分かります。
LQDのパフォーマンスも確認してみましょう。
(BlackRock HPより引用:LQD 設定来のパフォーマンス)
LQDの設定来パフォーマンスは年5.6%となっており、設定当初から再投資し続けた場合、3倍に成長しています。
まとめ

前回までは主に米国株式を投資対象とするETFを紹介してきました。今回の債券ETFは米国株ETFに比べると、ローリスク・ローリターンな商品といえます。
2022年2月現在では、FRBの段階的な利上げが始まることがほぼ確実視されている状況です。債券と金利は逆相関の関係にあるため、金利上昇に伴い、足元では債券価格が下落しています。
短期的には更なる価格下落(金利上昇)が予想されるため、債券ETFにとっては絶好の買い場が近い将来に到来するかもしれません。
中長期で3~5%の利回りが狙えるのであれば、魅力的な投資対象といえそうです。また、資産ポートフォリオを考える上でも、株式100%よりも一定割合を債券に分散することでリスク低減を図ることも期待できます。
詳しくは、投資家なら一度は読んでおきたい以下の名著を参考にしてみて下さい。
S&Pやナスダックが当面は軟調な展開が予想される中、債券ETFも投資の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?